おそくなりましが、明けましておめでとうございます。

 

さて、まだ明けてまもない1月4日。また悲しい海難事件がありました。

伊東の第5妙法丸さんが、船長太田幹也さんの他に船長の家族3名の計4名を乗せて遊走後、帰港中の手石島と川奈崎の中間付近(手石島の南約2キロメートル沖合)にて船長の長女(11歳)が海中に転落し、これを救助するため船長が海に飛び込みましたが、そのまま2名共行方不明となりました。

船長の長女につきましては、午後3時頃に捜索に出ていた僚船により発見揚収され、伊東市民病院へ搬送されましたが残念ながら時遅くお亡くなりになりました。

行方不明となっていました船長は8日、捜索中の民間ダイバーが、伊東市手石島南東約300メートル付近の沖合い(水深約37メートル)にて男性の遺体を発見したとの通報があり、その後、船長本人であることが家族により確認されました。

実は昨年、10月8日に発生した遊漁船第3明好丸の悲惨な転覆海難事故(死亡2名、行方不明5名)の教訓から、下田海上保安部では、旅客を乗船させる遊漁船を対象として、伊豆諸島も含めた管内すべての漁業協同組合に対してライフジャケットの着用などの安全講習を延べ6日間にわたって実施してきましたが、12月20日には、第3明好丸と同じ神津島釣船業協同組合に所属するほうゑい丸が下田港入口付近の岩場で座礁事故を起こし、その際旅客にはライフジャケットを着用させておらず、すぐ取り出せる状態でもありませんでした。

 

第3明好丸転覆海難事故(平成18年10月8日発生)において、いまだに行方不明となっている風能さんのご家族から、下田保安部に次のとおりFAXを頂いたということですので、それを紹介します。
(下田会場保安部のご本人の了解を得てHPにて紹介されているものです。)

 

「下田海上保安部長様及び下田海上保安部の皆様 」

 

突然のFAX申し訳ありません。


私は昨年10月の明好丸転覆事故で行方不明の富士の風能といいます。
あの時は本当に皆様にお世話になりありがとうございました。
昨夜、保安庁のホームページで明日、神津島所属の遊漁船に対する一斉安全指導を実施することを知りました。


私の主人の事故からまだ3ヶ月しかたっていないのにほうゑい丸の事故、伊東の第五妙法丸の事故と続きました。しかもあの事故のあとの安全講習会が生かされいないと知り本当に悲しいです。私達主人のあの転覆事故はいったいなんだったのでしょうか?


事故の後、明好船長に聞きました。「もし、ライフジャケットを着てたら、主人たちは助かりましたか?」船長は「助かっていたと思います。」と答えていました。


確かに自然の力は人間の力をはるかに超えていたかもしれません。でも、この様な事故が起こった時、人の力で最小限に食い止められていたかも知れません。人の人命を預かって仕事をして行くならば、最小限な基本的なことを大事にやっていってほしい。


これからも、大好きな釣りを楽しみに神津島の船に乗る人たち大勢来ると思います。


神津島の皆さんに伝えて下さい。命の大切さ。突然大切な家族を失った悲しみ、つらさ、むなしさわかりますか?


命を大切にしましょう。


勝手なことばかり書いてすみません。あの転覆事故がただの事故で終わりにならないことを祈ります。

 

風能喜美代
平成19年1月11日                                               」
以上原文のとおり

 

 

当店では昨年から救命胴衣を積極的にすすめております。

商売だからだろう?というご意見もありますが、こうやって長年商売させていただいていると、やはり事故に遭われた方の話を耳にします。

船釣り以外でも、熱海で磯釣りをしていて波にさらわれた方。高齢で鮎釣りにいって流されて亡くなられた方。

一人で渓流に入って足を骨折して2日後に救出された方。

昨年も長年釣りをやられていてお亡くなりになり、遺品の釣り具の整理をまかされました。

この方は事故ではないですが、やはり残された家族の方の思いというのは、とても心に痛みます。

 

 

前にトカラ列島で沖泊まりしたことがあります。

海流3、5ノット。船はアンカーにて停泊。

エンジンは停止。

万が一落水してもすぐアンカー切り離して救出に向かうまで約5分。

アンカーをあげたら15分。

それから真っ暗な中いきなり全速でいいくわけにはいきません。

スクリューに巻き込まれたら生きていても死んでしまいます。

これで亡くなられるダイバーは年間でも数名います。

サーチライトで慎重に探りながら船足を進める。

夜間というのはそれくらい救助に時間がかかる。闇夜ならなおさらです。

おそらく救助まで最短でも20分以上かかるでしょう。

海流3、5ノットということは時速7キロ。

その間落水地点から20分で流されること約2キロ。

僕は高校時代水泳部でした。毎日泳ぐこと60km(6000m)。

それでも3、5ノットの海流に逆らって泳ぎきる自信はありません。

というか、、、世界のトップスイマーレベルで100mを1分のラップで刻んでいっても1時間に6キロです。これは無理。

海流の速さというのはそれくらい凄いんです。

稀に遠征釣りしていると潮が動かない時にいきなり3ノットクラスの潮が入ってくる時があります。

俗にいう潮変わりですね。

これは船の上にいてもわかる。渦を巻きながら沖から迫ってくるのがよくわかる。

こういう潮をくらった時にダイビングの事故が起きます。

 

安全対策や安全指導を無視して事故に遭われるのは結構ですが、残されたご家族の思いを感じてあげてください。

うちの常連さんにはかなり強制的に救命胴衣をつけさせてます。

確かに救命胴衣は邪魔。首にかけるやつは汚れるし洗えない。

そのためにウエスト型のものをお勧めしてます。

これならカッパの中にも装着できる。汚れないし軽い。

残された人のためにも、自分の命は自分で守る。

自然はたくさんの恵みを与えてくれますが、時にははかり知れない力を発揮します。

守れるものは自分の力で守る。

 

こういうことを書くと「みんな怖がって釣りいかなくなるだろ!」とお叱りをうけます。

この事故を隠すのでなく、やはり教訓として活かしていくべきだと思います。

僕は海難犠牲者への供養は欠かしたことがありません。

そういう方を出さないためには、やはり道具を売る側のもの、作る側のもの、船に乗せる側のもの、

本を作るものなどなど。

こういう人々がちゃんと危険を説明する義務がある。

僕はそんな考えであえて書いています。

僕の仲良い船長のお母さん。

僕も大時化の時は心配して船宿に電話したことあるんですが、いつも願いはお客さん全員無事に船が帰ってきますように。

その願いは同じです。

 

今年も安全第一で最後まで楽しく釣りをしましょう。

本年もよろしくお願いいたします。